超リアルな女子高生CG『Saya』の作者が実践する、フォトリアルキャラクター制作術|CGWORLD 2015 クリエイティブカンファレンス個別レポ
<2>生身の人体、現実の衣服に準じたモデリングの徹底
モデリングを開始するにあたり、まず参考資料として人体の解剖学に関するものを用意し、表面的に見える要素のみならず骨格からそれを覆う筋肉、そして皮膚や脂肪等の肉感に至るまで徹底的な人体に関する理解の上で制作された。
それは、人間という大きな括りのみならずアジアと西洋、アフリカ等人種の違いまで意識し、日本人の若い女性ならではの湿度を含んだきめ細かい肌の質感まで再現することが目標に掲げられた。
衣装のモデリングも同様、まず実際の衣装のパターンに関する資料を元にそこからパスを作成、それをMarvelousDesigner上でシミュレーションをかけながら形状を微調整しながらより自然で美しいボディラインになるよう探っていったという。
MarvelousDesignerによる衣装表現は非常に優れている。しかし、Clothシミュレーションを施す上で、ポリゴン数が多くなりすぎてしまいがちであり実データとしてそのまま使うには重すぎるという悩みも聞かれる。
そこで『Saya』では、Maya上で完成した服のモデルと、パターンの状態の平面状のモデルの両方をインポート。両モデルのトポロジー情報が共通であることからブレンドシェイプでアニメーションができることを確認した上で、パターンの平面モデルに沿って理想的なトポロジーデータを作成、それをハイポリゴンの元データにwrapさせることで効率的にリトポロジーとUV作成するというワークフローを用いたという。
MarvelousDesignerで生成した衣服モデルに対するリトポロジー作業の例
(左)パターンの平面モデルをガイドに、リトポロジーを施したモデル/(右)MarvelousDesignerから読み込んだ元モデル。ハイクオリティだが、それゆえに大容量(高負荷)である